害獣(ネズミ、コウモリ、イタチ、ハクビシン、アライグマ)は様々な病原菌や寄生虫を保有しており、それが人間や家畜に感染することで健康被害を引き起こす可能性があります。それぞれの動物が保有する代表的な病原菌や感染症について詳しく解説します。

1. ネズミ

ネズミは数多くの病原菌を運ぶことで知られており、以下のような感染症を引き起こします。

  • サルモネラ菌:サルモネラ症の原因となり、食中毒の一因です。ネズミの糞尿を介して食物や飲料が汚染されることがあります。
  • レプトスピラ:レプトスピラ症(ワイル病)を引き起こし、人間には発熱、筋肉痛、黄疸などの症状が現れます。ネズミの尿に含まれることが多く、水や土壌を通じて感染することがあります。
  • ペスト菌:ペスト(黒死病)の原因であり、主にノミを介して感染します。過去にはヨーロッパで大規模な流行を引き起こしましたが、現在も一部地域ではリスクがあります。
  • ハンタウイルス:ハンタウイルス肺症候群(HPS)や腎症候性出血熱(HFRS)の原因。ネズミの尿や糞に含まれ、主に吸入によって感染します。

2. コウモリ

コウモリはウイルスの宿主として知られており、特にウイルスが人間に感染する際の媒介動物として大きな注目を集めています。

  • 狂犬病ウイルス:コウモリも狂犬病ウイルスの保有宿主であり、噛まれることで感染します。狂犬病は致死率が非常に高い感染症です。
  • エボラウイルス:一部のコウモリはエボラウイルスの保有宿主とされており、人間への感染源となる可能性があります。直接接触や体液を介して感染することが知られています。
  • ニパウイルス:ニパウイルス感染症を引き起こし、致死率が高い感染症です。人間には果物や動物を介して感染します。
  • コロナウイルス:SARSやMERS、COVID-19のようなコロナウイルスの一部は、コウモリから人間へ感染が拡大した可能性が示唆されています。

3. イタチ

イタチは他の動物ほど多くの病原体を保有することは少ないですが、感染症を媒介することはあります。

  • 狂犬病ウイルス:イタチも狂犬病に感染することがあり、噛まれることで人間に感染する可能性があります。
  • 寄生虫(回虫など):イタチは様々な寄生虫を体内に持つことがあり、これが家畜や人間に感染する可能性があります。

4. ハクビシン

ハクビシンは日本に生息する野生動物で、近年では都市部でも見かけられることがあります。

  • サルモネラ菌:ネズミ同様にサルモネラ菌を保有しており、糞尿を介して食物を汚染することがあります。
  • トキソプラズマ:トキソプラズマ症の原因で、特に免疫力の低い人や妊婦にとって危険です。感染源は主に糞ですが、生の肉を食べた場合も感染のリスクがあります。
  • 狂犬病ウイルス:ハクビシンも狂犬病に感染する可能性があり、噛まれたり、接触することで感染するリスクがあります。

5. アライグマ

アライグマは都市部にも適応しており、家屋や農作物に被害を与えるだけでなく、多くの病原菌や寄生虫を保有しています。

  • 回虫(バイエルス回虫):アライグマが持つ寄生虫で、人間にも感染することがあります。感染すると、脳や内臓に重篤な障害を引き起こすことがあります。
  • 狂犬病ウイルス:アライグマも狂犬病の感染源となることがあり、人間に噛まれることで感染する可能性があります。
  • リステリア菌:リステリア症を引き起こし、特に妊婦や高齢者、免疫力の低い人々にとって危険です。

これらの害獣が持つ病原体は、直接的な接触や、糞尿、噛まれることによって感染します。家や農作物の近くにこれらの動物が生息している場合は、適切な対策を講じることが重要です。